元電力マンが教える!台風時に起こる停電の原因とその理由

みなさんは台風の際になぜ電気が止まってるの不安になることはありませんか?

鉄塔が倒れたり、電柱が折れている場合は分かりやすいと思いますが、それ以外の場合って意外と分からないと思います。

原因が分からないって不安ですよね。

この記事を読んでもらえば、不安は少し解消されると思います。

台風時における停電の原因は様々ですが、元電力マンの私が主な原因について紹介したいと思います。

はじめに停電の仕組みについて

まずそもそも停電は、なぜ起きているのかを軽く説明します。

自宅で考えてください。自宅のブレーカには大体漏電ブレーカーというものが付いております。これは、自宅で漏電が起きていた場合に危ないから強制的に停電させますよ。というものです。

電柱で起こる停電も同じような感じで、高圧線が地絡(漏電)したら大元で強制的に電源を切っています。なので、気的に電気が地面に流れる(地絡)もしくは、短絡(ショート)している場合に停電は起こります。

台風時に停電している場合は、どっかで地絡または短絡しているんだなと思ってください。

これを踏まえた上で、その原因を説明していきます。

樹木の倒木による停電

山間部によくある原因の一つです。

電力会社は、電線に樹木が接触しないように一定の期間で電気設備の巡回を行っていますが、この巡回では、枝が接触しているかどうかを見ています。

当然接触している木があれば、設計書を書いて伐採の処理を行います。

しかし、台風の際は電気上十分な離隔をとっていたとしても倒れてきたら電線が切れる場合があります。

『じゃあ、倒れてきて電線に当たりそうな木は全部切れよ!』って思う方もいるかも知れないですが、それは不可能に等しいです。

電気設備技術基準では
(電線による他の工作物等への危険の防止)
第二十九条 電線路の電線又は電車線等は、他の工作物又は植物と接近し、又は交さする場合には、他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく、かつ、接触、断線等によって生じる感電又は火災のおそれがないように施設しなければならない。

電気設備技術基準

電気設備技術基準解釈
【低高圧架空電線と植物のの接近】
第79条 低圧架空電線又は高圧架空電線は、平時吹いている風等により、植物に接触しないように施設すること。ただし、次の各号のいずれかによる場合は、この限りでない。以下省略

電気設備技術基準の解釈ー経済産業省

このように決まっており、特に電力会社としては切る必要性がないんですよね。あからさまに木が斜めになっていて倒れてきそうな場合は別ですけど。

話は戻りますが、倒木により断線することで電線が地面についてしまうので、そこで地絡が起こり停電します。電柱が折れた場合も同じような原因が多いです。

飛来物による停電

台風の時にニュースとかでよくやってるやつです。

先ほどの樹木と似たような感じです。飛来物が飛んできて電線が断線するといった事象です。

こちらは、どちらかというと都心部に多く見られる原因の一つです。

大きめの看板やとたんが強風に煽られ、電線に接触し断線し地絡します。

また、3本同時に断線する場合もありそのような時短絡し停電します。

ちなみに・・・
とたんが電線に乗ってる状態は、停電してない場合が多いです。すごく簡単に説明しますと、高圧線には絶縁性の被覆を覆っています。その被覆が劣化して裸線が見える状態であれば短絡します。(2線もしくは3線触れていた場合)

どちらにせよ、このような状況を見かけたら危険であることは間違い無いので管轄の電力会社へ連絡しましょう。

大雨による停電

台風の際は、大雨が降りますのでそれが原因になることも多いです。

水は電気を通します。漏電と一緒ですね。水回りで、ビリッって来たことはありませんか?そのような状態になっていたら停電します。

元々電気設備に不具合があり、雨が降ることによっり電気的に接地と繋がり停電してしまします。

これは、普段の雨の日にも起こりうる事象です。

電力会社は定期的に電柱を点検していますが、毎日全ての電柱を見ているわけでは無いので経年劣化によって絶縁破壊している場合が多いです。

雨が降ったら停電する可能性が高くなると思っておいてください。

鉄塔等の送電設備による停電

台風被害
引用:朝日新聞デジタル

千葉台風15号の時にありましたね。この時は、100万軒近く停電しました。

これはかなりレアなケースになります。鉄塔が強風で倒れることはなかなかありません。しかし、こうなってしまったら広範囲で停電することになります。

送電線は電気の大元部分になりますので、これが倒れてしまうかなり厄介です。一応電気はこう言った事態を想定して、他の送電線から融通するようなシステムになってはいますが、規模が大いと容量が足りない為、融通が出来ない場合があります。

こうなると、他の電力会社と協力を依頼し高圧発電機車というものを使って家庭に電気を届けます。

このような場合は長時間停電する可能性が高いので、心構えしておいてください。

まとめ

台風における主な原因とその理由です。いかがだったでしょうか?

他にも、細かく言えば原因はあるのですが大まかにはこのぐらいです。後は、家庭のブレーカーが落ちたり、引込線が切れたりと言った感じになります。

このような災害はいつ起こってもおかしくありません。また、電力会社は全力を尽くしていますが、大規模災害では復旧の見込みが立たないのが正直なところです。

日頃から非常用に生活用品や食べ物を備えておいたら不安は少し解消されると思います。

気になる方はこちらを読んでみてください。

台風時に電線が断線して落ちている場合はすぐに電力会社へ連絡してください。
また、触れると大変危険です!基本的には停電している場合が多いですが、電気がまだ流れている場合もあります。6600Vなのでご注意ください。

では、最後まで読んで頂きありがとうございました。

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この記事を書いた人

yuki8650

高校を卒業し電力会社で働くも思い切って退社
現在は、旅をしながらyoutube活動を行うかたわらWEB制作も行う。
高卒向けに副業や転職
キャンプ・旅に関する情報を発信。